Long Now Foundationでは、毎月一度ゲストを招き、サンフランシスコで講演を行なっている。12月のゲストは『The End of Faith: Religion, Terrror, and the Future of Reason』を書いた気鋭の哲学者Sam Harris。この本は、たとえ自分の宗教に従うことが残虐な行為に及ぶことを意味しても、理性よりも信仰を選んでしまう人類について書いたもので、大量破壊兵器を手にした今、宗教の違いで争ってる場合じゃないでしょう!と議論しているとのこと(未読なので)。
http://www.samharris.org/
で、この本がわいのわいの言われたのは、盲目的な信仰心がなさせるテロリズムの恐さだけではなく、アメリカ自身の盲目を指摘したことにある。当然ながら、現政権とイラク戦争を支持したクリスチャンたちは面白くない。ハリスは「ほかのことは声を大にして議論できるのに、宗教や信仰の批判はタブー。問題があると思っていても、みんな口をつぐんで突っ込めなくなる」と、その問題を自著の中で指摘した。ハリスによれば、アメリカ人の40%が神の天地創造を信じている。22%が*50年以内に*キリストが再来すると信じ、さらに20%が再来するかも、と思っているという。そういえば"Jesus comes back"というフレーズって、わりと日常的に見聞きしてる気がする・・。
ブッシュ大統領はスピーチの中で「祈る」「神」という言葉をやたら使うが、それを聞いて「イラク市民やアメリカ兵が死んだり、死刑執行したりするのは構わなくて、他の人間を救うかもしれない胚細胞のリサーチは殺人になるからダメだっつーのか。どう考えてもおかしいよ」とムカついてるアメリカ人は、すごく多いのだ。もちろん、クリスチャンの中にもそういう人は少なくない。
アメリカという国の動きと戦争が世界に及ぼす影響の大きさを思うと、それから日本だってほんの60年前まで「天皇陛下万歳」といって戦争をしていた事実を振り返ると、「よその国のこと」とはとても思えない、普遍的な問題だ。問題が大きすぎて、考えただけでクラクラしてくるけれど・・。