sasajun2007-06-12

 前に飛行機で隣の席になった男の人(アメリカ人)が、遠距離恋愛中の彼女(日本人)にプロポーズする計画を話してくれた。長くつきあった相手だけど、何カ月か会っていないとのこと。ロンドンの彼女の職場にいきなり現れ、そのままパリのエッフェル塔のレストランに連れていって、プロポーズするんだという。そのために一流デザイナーに頼んで、おばあさんの代から伝わる宝石を、リングに加工したと言っていた。で、そのまま彼女を自分の住む国に連れ帰るつもりだと言う。なんてドラマティックな。語っている彼は、映画『卒業』のシノプシスをプレゼンする脚本家のように、意気揚々としていた。「でも彼女の仕事とか、ヨーロッパでの生活はどうなるの?」と聞いたら、「どうせ辞めてもどうってことない仕事だから、構わないよ」。・・・おいおい。2人は無事に結婚できたのかしらん。
 
 6月は結婚する人が多いと見えて、ショップには結婚祝いに適当な商品がよく飾られている。7月に結婚する友人がいるので、何かあげたいものがないかなと、立ち止まって見てしまう。そういえば今年は2007年7月7日と7が3つ並ぶというので、米国では結婚式の予約が殺到してるそうだ(しかもこの日は土曜日)。毎年、7月4日の独立記念日直前の週末は人気があって、12,000〜13,000組が結婚するそうだが、今年の7月7日はその倍を優に越える予約が入っているとか。アメリカ人も縁起をかつぐんだなぁ。日本の七夕の話をしてあげたら、もっと盛り上がりそう。
 日本のAll Aboutによれば、プロポーズされたいところBest 3は、レストラン、海、夜景がきれいなところ。意外と普通ですね。
 日本でも「レストランでシャンパンを注文してくれたら、グラスにリングが入って出てきた」なんて演出をする男性がいるようだけど、米国ではロマンティック&サプライズな演出でプロポーズするために、あれこれとシチュエーションを練る男性が多い。考えてみたら男性にとっては、結婚式より大きなイベントなのかも。
 まず、エンゲージリングを用意する前に、彼女のリングサイズを確かめなくちゃいけない。バレないように測定する方法としては、彼女が外したリングを紙において、細いペンで内側をなぞる。あるいはリングを石けんなどに押しつけて、型をとる。リングを買う時は、彼女の女友達に好みを相談したりもする。
 次にタイミング。誕生日、出会った日、バレンタインデー、クリスマスなど、記念日や祝日のプロポーズが、けっこう多い。友人家族が誕生日パーティに集まった時に彼がスピーチをはじめ、みんなの前でプロポーズされた、なんて話も聞いた。
 さらに、演出。ありがちなバリエーションとしてはこんな感じ。/買ってきてくれたケーキの上にリングが置いてあった。/ビルの屋上に連れていかれて駐車場を見下ろしたら、大きく'Will You Marry Me?''と地面に落書きされていた。/ジュエリーショップに連れて行かれ、好きなリングを選んだら、その場でひざまずいてプロポーズされた。/野球観戦に行ったら、電光掲示板に「○○, Will you marry me?」と広告が出た。・・・などなど。
 プロポーズされた女性が興奮して「He has proposed to me!」と叫び、周りに居合わせた人たちが「おめでと〜」って言ってあげる、なんてこともある。
 レストランだろうがアウトドアだろうが、男性が片膝ついてひざまずき、「Will you marry me?」とリングを差し出すのが、米国では伝統(?)らしい。ある時「私もそういうのがいいな〜」と言ったら、「いい年して十代の女の子が夢見るようなこと言いなはるな」と、アメリカ在住の日本人男性にいなされた。女性たちも「けっ」という感じだった。ハーレクインロマンス的なロマンティックの王道って、なかなかむずがゆいようで。
 
 と書いてて思い出した。飛行機で隣の席になった男の人から結婚の計画を聞いたことが、もう一回あった。彼はなんとお見合いのために、成田からモントリオールへ向かうところだった。在日コリアン、長身、東北大の大学院生で、韓日英独語が堪能な、とても素敵な人だった。そのお見合いはまとまらなかったけど、めでたくコリアンのお嫁さんをもらったと、数年後に手紙をくれた。
 あと数週間で、飛行機に乗る。海を越えての愛のストーリーに、また遭遇するかもしれないな〜。