sasajun2007-06-04

 ミリオンマイルのマイレージカードを、はじめて見せてもらった。持ち主は、今年に入って渡航すでに四十数回、昨年は八十回以上渡航したという、恐らく日本一多忙な国際フリージャーナリストの大野和基さん。「大野さんを囲むランチ」を、編集者の方が企画してくれたのだ。
 大野さんは、世界を股にかけたキケンな突撃取材の名人でもあり、カズオ・イシグロとかジェイ・ルービン、アレックス・カーといった作家さんや、気鋭の学者さんの取材の名人でもある。いったいいつの間に、どれだけの早さでどれだけの本を読むのかしらん?
 「すごく元気で面白い方!」と噂に聞いてはいたが、大野さんのポジティブエナジーは想像以上。ここのところ珍しくしょぼくれていた私に、そのテンションはヒジョーにありがたい刺激だった。
 取材の裏話は大野さんのサイトBehind the Secret Reportsでいくつか読んでいたけれど、要人の個人情報の入手法、確信犯的アポなし取材、張り込み撮影などなど、スパイ小説ばりの世界。ところがシリアスなはずの状況も、大野さんにかかるとコメディ映画みたいに聞こえる。取材依頼の無理難題さ加減や、間一髪の体験を笑い飛ばす語り口に、私たちも笑いっぱなしだった。
 
 大野さんは「一流とは」というコラムの中で、「日本人でも一流の人に取材すると当たり前のように英語ができる。’英語なんかできなくても、専門ができればそれでいいのだ’と自分に言い聞かせている人ほど、専門知識はおろか、自分の位置が世界でどの辺にあるかもわかっていない」と述べている。
 それはきっとそうだろう。そうなんだけど、私がいつも感心するのは、一流の人の気力と体力だ。だって人間、体力がなければ集中力も持久力もたかが知れている。体が弱くても病床にふしても素晴らしい仕事を続ける人はいるが、そういう人は、やはりもともとの気力・体力がスゴイんだろう。 

 今週はギリシャに行くんだ〜と、大野さんはガハハと笑って去っていった。なんかホント生きてるのが楽しそうだなぁ。ネガティブなエナジーを寄せつけなさそうな、頑強な気力・体力・知力そのものの方だった。