『地球の食卓 世界24か国の家族のごはん(原題:Hungry Planet)』の著者、ピーター・メンツェルさんとフェイス・ダルージオさんのトークイベントに行った。『地球家族』などの前著でもすばらしい仕事をしているペアで、私が個人的にとても尊敬するフォトジャーナリストだ。
 長寿で世界的注目を浴びる沖縄、スーダンの難民キャンプ、中国の田舎と都会、エクアドルの高地、さいはてのグリーンランド・・。この本は24か国の平均的な一般家庭の食生活を比較することにより、食やグローバライゼーションの問題を浮かび上がらせ、食べることの素晴らしさを思い起こさせる。
 イベントは写真もトークもユーモアにあふれるもので、とても楽しかった。確かにユーモアがなかったら、あれだけ様々な場所を取材して歩くのはつらいだろう。ピーターさんは'Travel is not about comfort. It's about curiosity.'というようなことを言っていた。


 ピーターさんによれば驚いたことに、アメリカの食事の17%は車の中で食べられているそうだ。そのほとんどが朝食と思いたいところだが、そうでもないかもしれない。
 というのが、確かに私も元カレといたときは夕食を車の中で食べることが週に一度くらいあった。出かける前にテイクアウトメニューをオーダーし、ピックアップして車内で食べながら目的地まで向かうのだ。それも食べやすいサンドイッチなどではなく、炒めもの・ご飯・スープといったチャイニーズのテイクアウト。運転しながらよく食べられるなぁと妙に感心したものだが、私も助手席で食べるのがだんだんうまくなっていった。
 彼にとっては食事はゆっくり楽しむものではなく、必要だから食べるもの、という感覚が強かったようだ。朝食や昼食も、仕事をしながら食べていることがしょっちゅうだった。自分で料理することは一切なくて、お茶のお湯をわかすのもマグに水を入れて電子レンジでチン。やがてその電子レンジを「体に有害だ」と捨ててやかんを購入したのだが、彼はコーヒーも外から買って来たものしか飲まないので、やかんを使うのは私だけだった。カップボードには、シリアルの箱と無菌パックのライスミルク、フェトチーニパスタと瓶詰めトマトソースしか入っていない。
 ・・・そんな食生活なのに、卵も乳製品も食べないベジタリアンなのだ。うーん・・。You are what you eat.とよく言うが、食のセンスには、人となりがよ〜く表れている。