Mr.TofuことMorinaga Nutritional Foods, Inc顧問、雲田康夫さんをインタビューさせていただいた。雲田さんは約20年前に「アメリカで豆腐を売ってこい」と会社からただ一人送り出され、アメリカ人の嫌いな食べ物ナンバーワンだった「Soy Bean Curd」を、ウェブスターの辞書に「Tofu」と載るまでに根付かせた方。その過程は、雲田さんの著書『豆腐バカ 世界に挑む』(光文社ペーパーパックス)に詳しい。マーケティング施策は言うに及ばず、自ら麻婆豆腐作りのデモをしたり、車のナンバープレートをTOFUにしたり、商品パッケージの着ぐるみを着てLAマラソンに出たり、豆腐普及のために思いつくことはすべてやったそうだ。著書の語り口どおり、ユーモアにあふれ、情にあつい方だった。
 「食の分野で異文化を根付かせるには長い年月がかかる。フード関係でアメリカ進出をねらう企業は、長期戦を覚悟して。5年かそこらで芽が出なければやめるつもりなら、最初からやらない方がよい」確かに、食べ物に保守的な人がアメリカにはけっこう多い。
 雲田さんは「海外駐在員を選ぶ時に英語力を最優先するのはよくない」とおっしゃっていた。大事なのは、苦しいことが続いても絶対自殺なんかしない精神力だそうだ。つまづいても転んでも、ケロリとして次の挑戦に向かう。「私もそんな風になりたいな〜」と言ったら、「そういうおめでたさは十分に持ってるよ」と友人。そうかな〜。