マイクロソフト社主催のNPO Dayに行った。ビル・ゲイツ会長のフィランソロピー活動は有名だが、日本のマイクロソフトも、NPOに対するIT支援に今後本腰を入れていくとのこと。アメリカのトップはもれなくスピーチが上手だが、ゲイツのスピーチもわかりやすく説得力があった。
 「自分は富を築いたラッキーな人間。しかしそれは、社会がそういう環境を与えてくれたからできたこと。その富を政府や自分の子どもにだけ分けてあげたら、それはゆがんでいる。私は最初は自分の地域に還元することからはじめ、次に米国における教育、次に途上国の貧困・病気をなくすための支援と広げていった。今は60%をグローバルヘルスに使っている」。
 「何事も政府がやってくれると考えないで。政府というのはそんなに効率のいいものではない。子どものころから、少しの時間、少しのお金を社会のために使うクセをつけるような教育が大事。お金を持っている人に対しては、社会からプレッシャーを与えること。アメリカではテッド・ターナー(CNN創設者)が、「金持ちのリストは寄付者のリストでもあるべき」といって、リストを発表しはじめてから、寄付が増えた。NPOは、政府へ影響を与える方法を考えること。インパクトが目に見えなければ、人々は興味を持たない。何十年もかかるだろうが、やっていきたい」
 アメリカのNPO関係者からは、「本来のNPOのあり方を考えれば、オープンソースを使うべき。だけどリソース不足なのでマイクロソフトに頼らざるをえない。結局独占企業を支えていることになってしまう」というような意見をたびたび聞いた。NYで私が参加した、オープンソースによるNPO支援イベントのスポンサーはIBMだった。
 大企業の力というのはものすごい。現状を調査し、問題点を見つけ、解決策を考え、目標とスケジュールを定めて、それを着実に遂行していく。優秀な企業のそういうビジネスのノウハウが、日本のNPO活動全体に適用されたら、やはりその影響力は大きいだろう。
 帰り道、そんなことを考えながら歩いていたら、向こうから歩いて来る人にハッとした。メガネといい、背格好といい、髪の毛の色といい・・。んなわけないやん、ビル・ゲイツそっくりの人だった。ビル・ゲイツそっくりなギークさんはどこにでもいるが、あんな風にスピーチができるそっくりさんはそうそういない。