サンフランシスコから日本に戻り、豪華なデコレーションやMerry Christmasというサインを目にし、クリスマスソングをやたら耳にするので、面食らってしまった。あちらではクリスマスソングはさほど聞かなかったからだ。
"Merry Christmas"という表現を使うか否かは、アメリカではややトリッキーだ。Christmasの語源はChrist(キリスト)+Mas(ミサ)。「メリークリスマスなんて言いたくない」という他宗教、無宗教の人たちもいる。というわけで、最近はオルタナティブとして"Happy Holiday(s)"が使われることが多い。
あるクリスチャンのウェブサイトで読んだのだが、ウェンディーズで店員さんに「Merry Christmas」と言ったら
反応が悪い。どうしたの?と聞いたら「その言葉はお客さんに対して使用禁止で、Happy Holidayだけ使うように言われてるんです」という返事が返ってきたそうだ。他のレストランチェーンでは、店にクリスマスの飾り付けは一切しない、という方針を決めたとか。他にもクリスマス名物である救世軍に店の前で演奏することを禁止したり、児童合唱団にクリスマスキャロルを自粛させたり、『We wish you a merry christmas』というあの歌を『We wish you a splended holiday』と替え歌にしたり、とにかくあちこちで気をくだているというか何というか。
私の友人なぞは、家族につきあってしぶしぶミサに行ったものの、大胆にも牧師さんに「Happy Holiday」と言ったら思い切り「Merry Christmas」と言い返されたそうだ。バトルだなー。
うんざりするほどポリティカリーコレクトにこだわるアメリカらしい話だ。宗教なんて関係なく、12月になるといきなり総じてクリスマス・クリスチャンになってしまう日本人もスゴイものだが。