1週間ほど、NYに行ってきた。

sasajun2007-11-03


 8月に就航した「ヴァージン・アメリカ」に乗っていったのだけど、フライト・アテンダントがやたらとフレンドリーだった。たまたまフレッド・リードCEOが同じ便に乗っていて、ラッキーにもその場でインタビューさせてもらえた。
 どうしてサンフランシスコを本拠地にしたのか聞いたら、「自分たちのエアラインの価値観を理解できるスタッフが見つけやすいことも理由のひとつ」とおっしゃっていた。リード氏は自身がベイエリア出身。カリフォルニア人らしくざっくばらんな方で、ビール片手に話してくださった。ヴァージン・アメリカは、個人的には超オススメのエアラインだけど、その話はまた今度・・・。
 
 ニューヨーカーに時間を聞く時は、「May I ask what time it is or should I go f**k myself?」と言うのが適切、というジョークを聞いたことがある。時間を聞かれただけでも迷惑がるニューヨーカーの不親切さを誇張してるんだが、んなことないだろうと思っていたら、冗談みたいな店員に遭遇した。
 
 サイバーショットからマックに画像をダウンロードするケーブルを忘れたので、泊まっていたアパートの近くのソニースタイルに買いに行った。見回すと店員さんがひとりいた。やけに光沢のあるネクタイをつけ、妙に髪型に気合いの入ったお兄さん。顔に表情がない。避けたいタイプだが、しょうがないので聞いてみると、即座に「このカードリーダだ」と商品を渡された。対応OSが古っちいし30ドルもするので、「もっと新しいのないんですか?」と聞くと、またも即座に「ない」。無表情のまま、声も抑揚なし。信用できない感じ。でも急いでたので、しかたなく買った。
 
 お兄さんはレジカウンターに入ると、無言でクレジットカードを受け取り、無言でカードのスリップを私の前にさしだし、私がサインすると無言で回収した。その仕草が、いちいち微妙に芝居がかってるのだ。最後に商品をショッピングバッグに入れると、指先でバッグを突いて私のほうに滑らせてよこした。映画で見る、バーのカウンターでコースターをすべらすような要領だ。本人的には、すごくスタイリッシュなつもりなのか。この人、お客さんに「Thank you」なんて絶対言わないんだろうな。ま、体験としては、面白いといえば面白かったけど・・。
 
 でもなんだか納得できず、翌日、友人にB&Hというショップを教えてもらって16ドルの新しいカードリーダを買い、ソニースタイルのものは返品にいった。今度は違う店員さんだった。手間はかかったけど、すっきり。
 
 日本に来る外国人が、「日本のお店はどこも店員さんがいっぱいいて親切だ」とよく喜んでいるけど、こういう環境から来たら、そりゃそう思うだろう。
 
 そういえばNYにいる間は、レジで「How are you today?」とか聞かれなかったな。サンフランシスコではいつも聞かれるし、スーパーでチョコレートを買ったらレジの男の子に、「あ、これうまいんだよね〜。今度○○の味も食べてみ。すっごくいけるからっ!」と言われたりとか、そんなこともたびたび。やはり土地柄なんだろう。
 
 接客の話ついでに。***

 先日、近所で銀行口座を開いた。友人に勧められて、Washington Mutualにした。
 担当してくれたのは、カレッジを出てほやほやという感じの、かわいらしい女性だった。名前はロージーさん。
 ロージーさんは、口座のことなど一生懸命説明してくれる。色んな質問にもマニュアルをひっくり返さずにきちんと答えてくれるので、真面目に勉強してるんだなと思った。
 
 IDチェックとしてパスポートをぱらぱらめくると、ロージーさんは声をあげた。
 「えーっ。あなた、本当にこの年なの?』
 アメリカではアジア人は若く見られるので、こういうリアクションには慣れている。というか、時々あまりに気まずいので、もう少し大人っぽい服装をした方がいいかなぁと考えることもある。 「フィリピン人とか日本人の女の人はいいな。肌が年とらないもの。うらやましい」とかなんとか言いながら、ロージーさんは手続きを始めた。
 
 私のビザの内容を確認して、ジャーナリストだと知ると、身元チェックなのか、好奇心がわいたのか、お客さんとフレンドリーなリレーションシップを築こうとしてるのか、「どんな記事を書くんですか? どうしてサンフランシスコに来たんですか? 英語はどこで勉強したんですか? 日本に行くことはある? 何年くらいこっちにいる予定? 家族は?」と、質問が続く。ひとつひとつの答えの内容が物珍しいらしく、ぱっちりした目をくるくるさせている。しまいに「とっても勇気があるんですね。ひとりで引っ越してくるなんて」と言った。
 
 で、パスポートを見ながらデータをコンピュータに入れる段階になった時、聞かれた。
 「Tokyo?」
 「Yes, Tokyo.」
 「And your last name?」
 ここで気づいた。彼女は私のfirst nameがTokyoだと思ったのだ。
 「名前はJunkoで名字はこうで、Tokyo, Japanでビザが発行されたんですよ」
 と言ったら,
 「こういう査証って見た事ないもんだから・・」
 と、もごもご。
 
 私だって例えば中国語やタイ語で地名や人名を聞いてもよくわからないんだから、別にいいよと思うんだが、ロージーさんはちょっと緊張してしまったようだ。その後、何度か「Chinaでは・・」と言いかけて言葉をとめた。「Japan」という国は、彼女の中ではとても薄い存在で、Chinaとごちゃごちゃになっているんだろう。
 
 帰り道、思った。アジア系の多いサンフランシスコでは珍しいことなんだけど、「外国人に会った時のアメリカ人」のリアクションを、久々に目の当たりにしたなぁ。そういえば、ロージーさんは「コネチカット出身だ」って言ってたっけ。アメリカのまんなかの州に住んでいるアジア人や、日本に住んでる外国人は、しょっちゅうこういうリアクションに遭遇してるのかもなぁ。