数日前に東大で、Michael Cunninghamが講演した。テーマは「Imagine the Future without America (アメリカ抜きの未来を想像する)」。
 マイケル・カニンガムは映画化された『The Hours(めぐりあう時間たち ー三人のダロウェイ夫人)』の原作で、ピューリッツァー賞を受賞した作家。前作ではヴァージニア・ウルフを引用していたが、新作『The Specimen Days(星々の生まれるところ)』では、ウォルト・ホイットマンを引用しつつ、人間と地球の未来を描いている・・とのこと。
 読んだ人からは「希望がない」「暗い」という感想もよく出るようだ。でもカニンガムはそう思わないという。どんな絶望的な状況にあっても、それでも何とかして生き残っていくところに、人間の面白さがあると考えているようだ。
 「作家は楽天的。世界は書くだけの価値があると信じているんだから。たとえ作家の描く世界像が暗いものだったとしても」という風に言っていた。
 その前日にインタビューした、『ダーウィンの悪夢』のフーベルト・ザウパー監督の言葉を思い出した。この映画、アフリカの貧困を映した映像があまりに衝撃的なので、「絶望的。思いっきり暗くなる」とよく不満が出るそうだ。監督の答えはこうだった。
 「希望は自分で見い出すものです」
ずっと忘れたくない言葉だと思った。