パーティで、素敵な紳士に会った。すらりとした長身、ぴんとのびた姿勢、グレーに光る髪、知的なまなざし・・。この感じ、どこかで見たことあると思っていたら・・納得! ユナイテッド航空パイロットを、数年前にリタイアしたんだって。今も制服がぴったり似合いそうな元機長さまなのだ。未来の飛行機は巨大なエレベーターのように
なるとか、シートベルト着用サインが出るとあえて外すマッチョな客がいるとか、でも飛行機は大揺れすると天井まで人が跳ね上がることだってあるとか、パイロットは同じ航空会社でしかキャリアを積めなくて転職できないとか、面白い話を数々聞いた。元機長さんは話術も素敵である。
で、話は航空会社と石油の高騰とリストラとペンション(年金)のカットダウンへ。昨年はノースウエストが破産。人減らししたせいで空港のチェックインカウンターは長蛇の列だし、アメニティセットもなくなった。エアラインはあらゆるコストダウンを図っているのだが、そのひとつとして話題になったのが、長年勤めてきた人たちが引退した後の年金のカットである。ニュースで「年金をアテにして家も買ったしいろいろ計画したのに」という引退者の話を聞くたびに、気の毒だなぁと同情していたのは、私だけではなかっただろう。
「そうなんですよ。年金は1/3になっちゃったんですよ」素敵な元機長さんと素敵な奥さまはその事実を認めた。「私はユナイテッドには感謝してます。いい給料をもらい、世界各地に飛ばさせてもらった。しかし・・。実は私は年金を15万ドルもらうはずだったんです」え、ちょっと待って。今、聞き間違った?15万ドル=約1700万円?んなわけないよね、やだー酔っぱらっちゃったよー。「でもそれが4万ドルになってしまったんですよ」うわ、聞き間違いじゃなかった! 「もうどうしていいか・・」
どうしていいかって・・。引退後に年間4万ドル=約450万円あったら十分じゃないのぉ?って思ってしまうんだけど。・・同じ仕事をしても、日本のパイロットがこれだけの年金をもらうことは、まず不可能だろう。一体どうなってるのー。
元機長さんと奥様は、最後にこう付け加えた。「息子もユナイテッドのパイロットになり、国際線を飛ぶようになって5年ほどです。でも、給料は私がもらってたのより少ないんですよ」そっか。何やらちょっとほっとした・・けど、飛行士の給料を下げるのってどうなんだろう・・。