PMSという言葉、思ったよりも知らない人が多いのだが、premenstrual disorder syndrome、月経前緊張症候群のことを言う。生理前の腹痛、むくみ、イライラ、落ち込みなどなど。男性には鬱病を経験していない限りなかなか想像しにくいだろうが、女性はむっちゃくっちゃ落ち込んだり、ネガティブなことばかり想像して苦しむことがあるのだ。それがやってくると、
考えは悪い方へ悪い方へと暴走し、悲しみと怒りにのっとられた状態になる。ひどい時は乗る電車を間違えたり歩きながら泣いたり、家に帰れば腫れ物状態になり、だいたい家族と恋人が迷惑を被る。そして数日後、ハタと気づく瞬間がやってくる。あっ、まただまされた。
矛先になるのはだいたい彼氏で、小さな行動がいちいち愛情の欠如に解釈され、PMSの終盤には「もう別れるしかない」と思い込んでるくらいだから恐ろしい。私もアレンに2度ほど牙をむいた。というか、一度は怒り、一度は泣いた。で、2度目には言われた。「あのさ、言いにくいんだけど、もしかして、また生理のせいじゃないの?」私はムキになって「違う!」と泣きながら言い張ったが、4日ほどして「やっぱりそうでした」と謝る羽目になった。その後彼は対策が必要と思ったのか、moon cycleというPMS緩和作用のあるハーブティーを買ってきてくれた(効果ないみたいだけど)。私のPMSは歴代ガールフレンドの中でも最悪らしく、ふだんが機嫌がよくておとなしいだけに「きたっ!」というくらいの豹変ぶりらしい。とほほ。
アメリカの友人(とそのダンナ)も同様の症状に悩まされていたが、「医者のアドバイスに従って、これを飲んで運動したらかなり改善された」と、ビタミンB6、B12、葉酸を送ってくれた。そういえば最近、運動をさぼっていたのが、PMSがひどくなってきた原因かも。はい、飲みます。やります。
きっとPMSのない人は、「毎回のことなら慣れて、カレンダー見たらそのせいだってわかるでしょうが」と思うことだろう。私もそう思うのだが、ところが毎回だまされてしまうのだ。一度ネットで調べてみたら、子供をたたいてしまう、自殺したくなる、寝たきりの状態になる、仕事が全くできなくなる、など、私よりもずっと重い症状に苦しんでいる人がけっこういた。児童虐待や犯罪の原因に、PMSが寄与していても不思議ではない。
女性のwell-beingは、子供や男性のwell-beingでもあるのだ。