数週間前、アメリカの翻訳会社から誘われて翻訳トライアルを受けた。あるIT企業がとてもかっこいいウェブサイトを日本にもオープンするというので、翻訳者を探していたのだ。3ページほどの試訳テストのほか、レジュメ、自己紹介レターの提出。さらにクライアントと直で電話インタビューまであった。そういうプロセスを経て雇われ、仕事が始まったのだが、なんと始まってみてから「トラドスがないなら仕事出せない」と翻訳会社のコーディネーターが言ってきた。(最初に何のソフトが必要か聞いたとき、言わなかったやーん!)
トラドスとは翻訳支援ソフトで、ウェブサイトやマニュアルなど、更新を重ねる大量文書の中で、翻訳フレーズや用語の統一を図るためのものだ。で、買えばいいじゃん、というワケにいかないのは、このソフト、10万円くらいするのだ。しかもクセのあるソフトで、あまりユーザーフレンドリーではない上トラブルもけっこう多く、初めて&急ぎの仕事で使うのは避けるべし、という話を聞いている。インストール後のパソコンのリアクションも、不安なものがある。
ある程度の仕事量の保障があれば購入してもよいのだが、実はこのコーディネーターには最初から不信感を抱いていた。なんというか、一緒に仕事をする人に対するリスペクトが感じられない。あからさまに、仕事を出してやってるという態度。メールにも人柄は現れるものだ。日本やヨーロッパでビッグクライアントと仕事をしている翻訳コーディネーターで、こんな人にはお目にかかったことがない。
特に海外と仕事をする場合は、いざというときに会って話すことが難しいので、直感的に「コイツはちょっと・・」と思った相手とは、仕事をしない方が無難だろう。ということで、今回はトラドスの購入を見送った。好感をもっている企業の仕事なので、やりたい気持ちはやまやまだったが、そのうちまた縁があるかもしれない。