サンフランシスコ国際映画祭で、ドキュメンタリー「Enron: The Smartest Guys in the Room」を観る。エンロンについてはウェブなどで読んではいたものの、あまりにやってることが無茶苦茶で、途中「これって全編ドキュメンタリーだっけ?」と不安になってしまった。株やエネルギーの価格を上げるためなら何でもあり。帳簿はウソの数字を積み重ね、事業をでっちあげ、毎年従業員を15%もリストラし、カリフォルニアを停電させ、最後は倒産して、持ち株や年金がフイになった社員はすっからかん。こんなインチキに国中(世界中?)がだまされて、「全米一の企業」と絶賛してたなんてー。
ところでこの間、取材させていただいた梅田望夫さんが、「宝くじを見るとアメリカと日本の違いがわかるよ」とおっしゃっていて、要は10億円のお金があったら日本ならば1億を3人、5000万円を5人、1000万円
を・・という風に、多少公平感をもって分配しようとするのだけど、アメリカの場合はひとりが全額とるのが普通。
しかも当選者がいなかったりすると、次回抽選に持ち越されるので、どんどん額が増えていく。ひとりの人が十数億円とかもらっちゃっても、それがアメリカンドリームだ、くらいの感じで、みんな納得してるようだ。なぜだか知らないけど・・というようなことだった。ここは自由とチャンスの国である。関わったみんなに成果物を分けるのが公平なのではなく、機会があること自体が公平で、努力によってであれ運によってであれ、そのチャンスを生かした者はそれだけの結果を得る。それが公平、という考え方なんだろう。たぶん。・・とはいえ、エンロンでがっぽり儲けてエグジットしたおっさんたち、あんなたくさんのお金、どうするんだろ? 
帰り道、アレンに「自分だけお金を儲けすぎたら気まずいとか罪深いとか、そういう感覚ってここの国の人はないの?」と聞いたら、「Not in America」と、険しい顔でひとこと。エンロンがカリフォルニアに引き起こしたエネルギークライシスのとき、彼はサンフランシスコにいたのだ。同情する。