sasajun2007-01-12

 ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング代表のロッシェル・カップさんが、こんな記事を送ってくれた。

VALLEY'S NEW LEADERS COMING FROM OVERSEAS
STUDY SHOWS IMMIGRANTS HELP CREATE MORE THAN HALF OF AREA'S START-UPS
http://www.mercurynews.com/mld/mercurynews/business/16380951.htm
 
 現地の人なら知っていることだろうが、シリコンバレーのスタートアップ(新会社)の半分が、移民によるものだというのだ。全米でもテック/エンジニアリング企業の25%が、移民が始めた会社だという。
 住み慣れた環境を離れ、言葉もままならないよその国で一か八かやってみる。この移民の精神が、シリコンバレーの起業精神に重なるという。「自分の家族と国を離れる根性のある僕らは、単に就職しただけでは満足できない。リスクをとって冒険するのは性分だから」という起業家の談話が載っていた。
 腐敗した行政や経済的障害のため、自分の国では起業なんて夢のまた夢だった・・。そんな人が、法的にも金銭的にも起業しやすいアメリカという環境におかれて、それまで発揮できなかった能力が待ってました!とばかりに花開く・・ということもあるだろう。
「起ち上げベンチャーの半分が移民による」というこの記事のデータは、デューク大とバーレクー大の研究に基づいたもの。とはいえこの移民の中には、子どもの時に親に伴われてきた人も含まれるようだが。

 
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 リスクといえば、昨年からシリーズで、シリコンバレーのビジネスコンサルタントの方々をインタビューさせていただいている。彼らは「日本の人はリスクをとることを非常に避けたがる傾向がある」と口をそろえる。
 確かにアメリカの方が楽観的なリスクテイカーが多いし、チャレンジは歓迎される。私自身もアメリカにいると、日本にいれば突拍子もないと言われるようなことが何故かできるような気分になり、それをアメリカの友人に話したら「それはいい!」と協力してくれて、やってみたら何故かうまくいってしまった、というようなことが起きる。
 うまくいかなくても、「残念だったね」でおしまいだ。何かやって失敗しても、概して立ち直りというか気分転換が早い気がする。人によっては何かのせいにするなど、合理化・正当化がうまい、という場合もあり、反省せずに立ち直るので懲りない、という話もあるけど。

 でも、個人的なチャレンジはともかく、企業でリスクをとって失敗したらどうなるんだろう? コンサルタントのひとりに聞いてみた。
 「イノベーションはリスクを伴う。新しい試みを奨励すれば、必然的に失敗も増えてくるでしょう? 企業では、失敗や失敗した人をどのようにマネジメントするんですか?」
 彼女はふっと笑った。

 「まぁ、シビアな処置もあるけど、そうね・・。イノベーションを奨励する企業では、成功に至らなかったプロジェクトを対象に、発想やチャレンジ自体が優れていたことを表彰するような賞を、年一度出しているところもあるんですよ」
 うーん、なかなかユーモアがあっていいなぁ。同じ失敗でも、Noble failureとStupid failure(立派な失敗・アホな失敗)はちゃんと区別しなきゃならないんだそうだ。Noble failureをちゃんと評価・反省してこそ、失敗は成功の母となりうるんだろう。