イギリスから来日しているドキュメンタリー映画監督に会った。ロシア、イギリス、フィンランド、フランス各国の監督が日本でドキュメンタリーを撮るプロジェクトがあるそうで、彼はBBCの依頼を受けている。東京に来てから数週間が経ったがconfusionの連続で、もうこのconfusionを被写体を通じて形にしていかないといけないのに、撮りたい人が見つからないんだよ〜!と、かなりフラストレーションを感じている模様。「何を撮りたいの?」と聞くと、「今の日本の状態と人生に混乱している面白いキャラクター」とのこと。しかしその「面白い」を見極めるためには日本を観察して、自分なりの洞察を作り上げなければならない。そのプロセスに思いのほか時間がかかっているようだ。
アメリカやイギリスから日本に来ると、労働状況とか住宅・オフィス環境を見て「どうしてこれが先進国なの?こんな狭いところで長時間働く毎日が幸せなの?」と憤慨し、自分の意見を述べない日本人を「つまんない人たち!」と決めつけてしまう人は少なくない。そんな文句たらたらの欧米人を見ると、日本語を勉強してから出直せば?と言いたくなったりするのだが・・。
この監督は日本に混乱している自分を受け入れて、その混乱に何らかの決着をつけるまで、長期間滞在する覚悟でいる。アメリカと日本の間でいつも混乱している私には、その気持がよくわかる。これから一緒に取材する機会が出てきそうだが、その経験を通じて何が見えるか、自分も楽しみだ。