アイスランド映画祭の取材で、ヴァルティースさんというフィルムエディターと話をした。アイスランド出身の女性で、デンマークで映画作りの教育を受けた方なのだが、手がけた作品がものすごい。『ミフネ』『ジュリアン』『小説家を見つけたら』そして『セレブレーション』を始めとするドグマ作品・・。90時間近いハーモニー・コリンの映像を編集していくなんて、気がヘンになってしまいそうだ。「クセのある監督と仕事するのってどうですか?」と聞いたら、「監督の気持をある程度読めなければいけない。脚本を読んだ段階で、登場人物が好きになれる作品でなければ引き受けない」とのこと。いろいろ面白い話が聞けたのだが、「映画づくりを支配するのは監督ではない。作品そのものであって、関わる全員が作品のためになることをすべき」というひとことがカッコよかった。だから「監督が”オレの映画なんだからオレの言う通りにやれ”なんて暴言を吐くと頭にくる。私は自分よりもいいアイデアだと思わない限り、絶対に監督の言う通りになんかしない」んだそうだ。映画は編集室で作られることを実感した。