ニュース番組や国際会議でご活躍中の、同時通訳者の方にお会いする機会があった。通訳者には帰国子女が多いけれど、この方もそう。8歳の時に米国に移り、十代半ばまで住んでいたそうだ。3人姉妹の真ん中だが、語学を中心とする仕事に就いたのは自分だけとのこと。ほかの二人ももちろんバイリンガルではあるけれど、お姉さんはやはり日本語の方がずっと楽であり、妹さんは英語の方がずっと楽になったというのだ。
Formative years of language learning(言語形成期)は、大体4〜14歳とされているそうで、そのどの部分をどんな環境で、どの言葉を使って過ごすかで、大きな違いが出るとのこと。親の第一言語を話さない人が米国にはたくさんいる。ある程度バイリンガルに育てたいと思ったら、親が意識的に環境を用意するしかない。私の友人は3児の母で、夫の出身地のカンサス州に住んでいるが、毎年夏休みには子供たちを連れて里帰りし、実家から日本語学校に通わせてきた。その成果があって、3人とも日本語での日常会話に不自由がない。
北米では地域によって、移民の子供に対し、英語だけでなく母語による教育に力を入れている。以前は「北米に来たんだから英語ができればいい」と考えられていたようだが、そうこうしているうちに「母語をしっかり発達させないと、なかなか英語ができるようにならない」ことがわかってきた背景があるようだ。日本でも小学校での英語教育について賛否両論が聞かれるが、この先どんなことが明らかになっていくんだろう。