アレンの車が壊れた。「何の車乗ってんの?」「ダッジのバン」「あ、トランスミッションね」と'言われるくらい、ダッジトランスミッションに問題が多いらしい。今日はカレッジでJAVAのクラスを教える日。しかたないので、Mountain Viewの妹んちまで汽車で行き、そっから車を借りてカレッジまで行くことにした。「汽車に乗れるよ〜」と説得され、お天気もよいのでついていくことにする。彼の授業中に仕事ができるよう、デイパックにパソコンを背負う。車の運転ができない私は、電車とかバスとかパブリックトランスポーテーションに乗るのが好きなのだ。
裏ぶれた倉庫街を抜けて獣道のような階段を降りると、線路が一本。脇に券売機が置いてある。待っている人は数人いるけど、果てしなく殺伐としている。「これが駅かい」と面白がりつつ、1時間に1本の汽車を待つ。あ,来た、と思ったら貨物車。ボディ全面にブレッドブランドか何かの広告がペイントされている。しかしその汽車が停まると、みんな乗り始めた。なんだ貨物じゃなかったのねー。汽車は2階建て。景色を見ようとワクワク上の階に乗り込むも、なんと、スクリーンがかかっていて外が見えない。全面広告ペイントするために、窓にスクリーンボード(細かいドットが入っている)が張られているのだ。座席は1/3くらい埋まっている。昔はこの汽車でシリコンバレーに行く人が多かったそうだが、スタンフォードの駅ではけっこう乗り降りがあった。降りた時にもう一度ボディを見たら、なんとCalTrainそのものの広告だった。どうしてパン屋さんの広告だと思ったんだろ?うーん、景色を犠牲にする意味があるとは思えない。
乗車中ずっと「時間を無駄にした」とアレンはプリプリ。確かに車だったら40分で着くところが、今日は1時間半・・。「無駄こそ人生を豊かにするものだって、ボルテールは言ったんだよ」と口にしてはみたものの、帰路は悲惨なことに。夜10:45発の汽車が遅れること45分。北カリフォルニアの夜は、星はきれいだけどさぶいんだよー。ジーンズの下にストッキングはいてきてよかった。アレンはやけくそで「I hate CalTrain」と歌にしてがなっている。闇の中ミッドナイトトレインがホームにすべり込んできた感じは、「銀河鉄道スリーナイン」のようにシュールで、カウリスマキの「浮き雲」のようにセンチメンタルだった。今度の汽車は広告ペイントがない。けど、暗くて外見えないし。車内には眠気がこもってる。そんなこんなでやっとこさ出発点の駅に戻ると、殺伐さ加減は昼間の比じゃない。映画の殺人場面がフラッシュバックする。絶対一人じゃやだよ、こんなとこ・・。山手線の広告センスといい、無事故の新幹線といい、日本の鉄道システムってホントにエクセレント。