ベジタリアン・キッズ

 人に意見するのは基本的に避けたいと思ってるんだけど、おととい、男友達に説教くれてしまった。
 
 夕食時に、子供(12歳、9歳)が、「ベジタリアンになる」と宣言したそうな。で、彼は「地球のために菜食したいという子供を誇りに思う」とか言っている。
 
 肉とポテトがメインのアメリカで、菜食はたいへんよろしいことだと思う。でもそれは「肉類以外の食品から必要な栄養素をとれる食事を、きちんと実践した」上でのこと。
 
 観察するにこの家族は、菜食=肉食べない、だと思っている。 だいたいにして、この子たち、魚を見れば鼻をつまみ、お肉のつけあわせの豆や、キュウリ、トマト、リンゴ、バナナすら嫌がって食べないのに、どうやってベジタリアンになるんじゃい! 
 
「どうしてベジタリアンになろうと思ったか聞いた?」とたずねたら、「アニマル・プラネットTVで、畜産による環境破壊の番組でも見たんだろう」。おいおい。
 
 タンパク質は、内臓の生育にも影響する。摂取量が足らなかったら、体の弱い大人になっちゃう恐れがあるんだよ。肉からとれないビタミンや他の栄養はどうするつもりなの? 今の野菜嫌いの状態からいったら、ベジタリアンじゃなくてジャンカタリアン(お菓子やスナックなど、ジャンクフードしか食べない)に育っちゃうよ。あなたは子供が偏食にならないよう、栄養を勉強して献立を考えて、ヘルシーな食事をつくる覚悟があるの? それともサプリメントを使えばいいって思ってるの?
 
 ・・・と話すと、友達は考えこんでしまった。 よく「You can't force your child.」と言って、子供がやりたがらないことは押し付けず、食べたがらないものは無理に食べさせない人である。子供の意思を尊重するのはすごいなと思っていた。でも、成長期の食事はやっぱり親の責任だし、その子の将来を左右するものだ。
 
 大人のベジタリアンの友達は何人もいる。菜食の制限が高くなるほど旅先などでは苦労もあるし、完全菜食の人は3食ほとんど自炊だ。でも自分の体調に気を配り、自分の体に責任を持っているのだから、何の問題もない。
 
 だが「肉はパスしてフライドポテトしか食べない私はベジタリアン」と思いこんでいるような子供は、いかがなものか。
 
 好き嫌いなく、バランスよく食べるよう育ててもらったことを、親にとても感謝している私としては、そしてアメリカの食生活にひと文句ある私としては、言わずにはいられなかった。
 
 このことをきっかけに、その子たちがもっと野菜や果物を食べるようになるといいな。