掃除にはまっている。母が聞いたらさぞ喜ぶだろう。母は掃除と整理整頓の天才である。私は子どものころから、自分の家よりも清潔で片付いている家は見たことがなかった。一緒に住んでいたアパートを解約したときは、大家さんに「入った時よりもきれいにしてくれてありがとう」と感激された。今、母は中高年者の多い公団に住んでいるが、ご近所一、部屋と共用スペースがきれいと評判だ。
 思うに、母のようなきれい好き・片付け上手な人は、きれいなのが気持いいという美的感覚、ちゃっちゃか動かずにいられないアクティブな性格、ここにこれを収めればぴったりという空間知覚能力に優れているのだろう。
 残念ながら、その能力を、私は受け継いでいない。美的感覚はないでもないと思うが、「ネコ」と呼ばれるくらいじっとしているのが好きであり、空間を測る能力がダメなので車の運転が恐い。
 なのにどうして掃除にはまったかというと、何気に買ったメラミンスポンジのおかげ・・! 私のマンションは70年代の建物で、古いマンションに例外なく水まわりが欠点だ。外装はきれいに塗装されてフランケンシュタイン状態を脱出したが、台所、浴室、トイレの古さはどうにもならない。強力な洗剤を使ったり、はいつくばってこすったりしても、「うわっ!」というほどはきれいにならないので、掃除もいい加減になっていた。ところがメラミンスポンジに水を含ませてこすってみたら、面白いようにタイルの目地やら何やらの汚れが落ちる。洗剤が不要というのもうれしい。ドイツの会社が特許をもっているそうだけど、いいものを発明してくれたな〜。
 きれいになるのが楽しくて、毎日、あちこちをちょこちょここすっている。「目に見えて成果が上がる」ことが、これほどモチベーションアップにつながるなんて、思ってもみなかった。ここまで手軽に効果が見えるものはそうそうないかもしれないけど、会社や学校、家庭でも、やる気のもとになるメラニンスポンジ的なものがあるといいなと思った。